飽和脂肪酸とは、脂質の構成成分の1つです。
高LDLコレステロール血症の主なリスクの要因のひとつで、心筋梗塞をはじめとする循環器疾患の危険因子です。また、重要なエネルギー源のひとつであるため肥満因子でもあります。
体内での合成が可能で、糖質から合成されます。
飽和脂肪酸を豊富に含む脂肪は融点が高いため、常温で固体であることが多く、牛肉などの白い部分が飽和脂肪酸になります。
また、飽和脂肪酸は短鎖脂肪酸・中鎖脂肪酸・長鎖脂肪酸の、大きく3つに分類されます。
- 短鎖脂肪酸
大腸で腸内細菌が食物繊維やオリゴ糖を発酵し生成され、腸内環境を弱酸性にして有害な菌の増殖を抑えます。大腸粘膜を刺激して蠕動運動を促し、免疫反応を抑制するなどの機能もあります。 - 中鎖脂肪酸
植物油に含まれるオレイン酸やリノール酸、母乳や牛乳にも含まれています。消化吸収が早く、ケトン体の生成を促し、ケトン体回路による脂肪燃焼効果も期待できます。また、脳のエネルギー源にもなり、認知症予防や抑制効果が期待されています。 - 長鎖脂肪酸
バター、牛脂、植物油などの身近な食品に豊富に含まれています。
適正量を摂ることのメリット
- 体力の維持
- 動脈硬化の予防
- 脂肪蓄積の抑制
- 脳出血の予防
- 排便がスムーズになる
- 脂溶性ビタミンの吸収を促す
などに役立ちます。
過剰に摂るとどうなるのか
摂り過ぎは肥満を招き、動脈硬化、脂質異常症、循環器疾患、冠動脈疾患のリスクが増加します。
不足するとどうなるのか
血管が脆くなり、脳出血や脳卒中の原因になるとされています。
また極端な減量などによって不足すると、体力が著しく低下することにも繋がりますので注意が必要です。
1日の目標飽和脂肪酸摂取量
飽和脂肪酸の多い食品代表例
油脂類・肉類・乳製品・洋菓子など
- 油脂類:バター、ラード、牛脂、ヤシ油、パーム油など
- 肉類:豚バラ肉、霜降り牛肉など
- 乳製品:牛乳
- 洋菓子:飽和脂肪酸を多く含む油脂類を使用したもの
中鎖脂肪酸が多い食品代表例
- ココナッツ・パームフルーツなど
- MCTオイル
※出典元:日本人の食事摂取基準(2020年版)